冬に備えて「暖房」のこと

最近はぐっと気温が下がり、事務所の周囲の森の木々もだいぶ紅葉や落葉が進んでいます。札幌周辺も、いよいよ冬の到来がひしひしと感じられますね…。この季節になると気になるのは「暖房」です。

最近は電気も灯油もガスも料金が上がり、北海道の長く寒い冬にどう備えるか、悩ましく思っている方も多いのではないでしょうか。その点、リノベーションは、毎年続くその悩みを改善するきっかけになり得ます。そこで今回は、リノベーション時の暖房機器の選択肢と、よりエネルギー消費を抑えるための工夫についてご紹介しましょう。

既存の暖房・熱源をそのまま生かす

リノベーションしても暖房・熱源はそのまま生かすというケースは少なくありません。特にマンションは自由度が低いため、設備機器だけ新しく入れ替えるお宅が多いですね。

例えばマンションリノベをした札幌市のNさん宅は、マンションが集中セントラル暖房のため、ガスの熱源をそのまま生かしてファンコンベクターを新しい機器に交換しました。「ファンコンベクター」とは、室外の熱源機で加熱した温水または不凍液で空気を温めて、ファンで室内に温風を行き渡らせる暖房機器のこと。これを室内に複数設置して使い、ワンルーム仕様の広い空間を暖めています。

小さめで場所をさほど取らないファンコンベクターで暖を取る設計

熱源はそのままに、暖房機器を入れ替える

熱源はそのままに、暖房計画を見直して機器を入れ替えるというパターンもあります。石狩市で築40年の戸建住宅をリノベーションしたIさん宅の場合、もともとはリビングに置いたFF式の高出力の灯油ストーブで主な生活空間を、個室は個別のストーブで暖めていました。

しかし、リノベーションを機に家自体の断熱改修をして住宅性能を向上させ、間取りも見直してLDKをワンルーム空間に変更しました。それに伴い、暖房を灯油のセントラル暖房に交換。各部屋に設置したパネルヒーターで、家全体が均一に心地よく暖められるようになりました。

冬場は靴が凍る(!)ほど寒かった玄関が、壁付けの縦長のパネルヒーターでほっとできる暖かさを保つ
リビングの窓下のパネルヒーターがコールドドラフトを防ぐ
2階のフリースペースも、窓下や階段近くのパネルヒーターでふんわりと暖かい

メイン暖房を入れ替えて、熱源も変える

戸建住宅はマンションよりも自由が効きやすいので、熱源や暖房機器の選択肢の幅は広がります。札幌市のKさんは、リノベーションを機に「薪ストーブ」を導入しました

床を張り替え、キッチンまわりをリフォームし、薪ストーブを据えて装い新たに生まれ変わったKさん宅のLDK

近年人気の薪ストーブは遠赤外線効果で暖かさの質が良くなり、温もりがより長く室内に留まります。また吹き抜けに長く延びる煙突が2階へも熱を運ぶため「暖房効率が良くなった」とKさんは実感しているそう。火を見てくつろげる、調理を楽しめるなど、暖房以外にも魅力がいっぱいの薪ストーブの存在が、ご家族の家での時間の過ごし方を変え、豊かな時間をつくり出しています。

お子さんたちもお手伝い。薪ストーブのまわりに自然と家族が集う

どの暖房にするにせよ、「断熱改修」が省エネ・省コストに直結

近年は性能が良くなったこともあり、北海道であっても暖房をエアコンでまかなう家も増えています。熱源による損得は一概には言えないのでアドバイスが難しいところですが、いずれにしてもエネルギー消費を抑えるための大前提は「躯体性能を上げる」。つまり、「家の断熱・気密性能を良くすること」です。

住宅性能が高ければ、大きな窓があっても寒くない

そのために、リノベーションはまたとない機会です。もちろんイニシャルコストも時間も、その分プラスにはなりますが、燃料費が高騰して先の見通しも楽観視できない今、長い目でみると家の長寿命化にもつながる「断熱改修」は、リノベーション時の選択肢として前向きに考える価値がありそうです。

SAWAI建築工房は、性能向上リノベーションの実績も数多くありますので、気になる方はぜひお気軽にお問い合わせいただければと思います。